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クラウド化する世界

2008年11月18日

分かっている人は5年位前から分かっていたのだと思うのだが、自分はこの本を読んで初めてインターネットのちょっと違う側面を見せられた。

クラウド化っていうのは、コンセントにプラグをさせばいつでも電気が使えるように、インターネットに接続すればいつでもコンピューティングできるということ。
グーグルとかアマゾンがやっているような、OSやサーバーやアプリケーションをインターネット経由で提供する仕組み。

でも、電気とインターネットの場合とではかなり社会に与える影響が違うという。
電気は生産元が集中して規模が拡大すると、電気料金が安くなったり、電化製品が増えて生活のスタイルが変わったりする。
一方インターネットがクラウド化すると、極端な話、システムとしてのインターネットに人間がパーツとして組み込まれることになる。
グーグルはすばらしい検索システムを構築したが、そのシステムで利用されるデータ、つまりコンテンツやリンクやクリック情報を提供しているのは無報酬で奉仕する人間。
アマゾンがロングテールの新市場を開拓したとしても、ニッチな製品情報をアマゾンに提供するのはやはり無報酬で奉仕する人間。
しかも、ユーザーを特定して、趣味思考を予測できるので、クラウド側のソフトウェアは人間の行動をある程度誘導できるようになっているそうな。
インターネットを利用しているつもりだけど、実際にはインターネットにコントロールされて奉仕させられているだけかも知れない。

Web進化論を読んだときはなんだかWeb2.0が明るい未来を開くようなイメージだったが、こちらの話では、クラウド化したインターネットの世界での競争は、無報酬の人々の労働をいかに集約して利益を出すかの競争ともいえる、というようなことになっている。