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インタラクションデザインの極意

2008年11月17日

アランクーパーの新しい本。
第三版というから、第一版、第二版を原文で読んでしまっている人はもう沢山いるのかもしれないが、日本語の翻訳本はこれが最初なのかなと思う。

インターフェースのインタラクションデザインに関する教科書。
理論と実践方法について、的確に分かりやすく、ところどころ吹き出して笑いそうになるくらいな、シニカルなジョーク?を交えて書かれている。
大きめのサイズの本で500ページ以上あるので、概説書よりもう少し詳しくて具体的。

印象に残っている部分をいくつか思い出しつつ挙げると以下のような感じ。

・まず、そもそも、ソフトウェアにしろ、ハードウェアにしろ、ユーザー向けのインターフェースを作るなら、ユーザーについてフィールド調査をして、その人が何を目的としているか明確にし、そのゴールに導くための最短コースを示すことが出来るインターフェースのインタラクションを考えるインタラクションデザイナーという立場の人が必要だ。
(ウェブデザインとかでよく言われる情報アーキテクチャーとはまったく別の立場として必要だということ)

・脳内イメージにあわせてインターフェースを作れ。
プログラミングの実装イメージにあわせて作られたインターフェイスが一番わかりやすいと思っているのはプログラマーだけだ、勘違いするな。
(自分はデザインパターンを利用したOOPプログラミングのきれいな構造を、そのままインターフェースで表現できれば一番分かりやすいと思っていたので、ちょっと耳が痛かった。)

・CPUが人間様に指図するな、馬鹿もの。
いちいちくだらない失礼なダイアログを出して、指図したり、くだらない確認のためにクリックを要求したりするインターフェースを作るな。
いまどきのCPUは超高速なんだから、こちらが指示を出す前に気を利かせて、こちらの要求を予想して先回りして処理を進めておくぐらいのことをするのが当然だ。
人間は試行錯誤しながら作業を進めるのが当たり前なのだから、いつでも処理をアンドゥできるように準備しておけ。

・メターファーに足を引っ張られるな。
最近はブログでタグを使ってエントリーを管理したりするので良く分かるが、ドキュメントの管理って別にファイルとフォルダのメタファーにとらわれなければならない理由など特にない。
OSが、ツリーノードのフォルダにファイルを収めるというメタファーにとらわれてデータを管理するせいでどれだけユーザーが面倒くさい作業を毎日させれていることか。
きちんと同期の取れたファイルが好きな作業場所で利用できるようになっていたらどんなに楽か。
メタファーにこだわらなければ、もっと分かりやすいドキュメント管理をコンピューターが実現するのは簡単なはず?

これは記憶に残っていることを適当に書いているので、かなり不正確だと思いますが、大体こういった感じで、言われてみれば確かにもっとだなと思える話が、本文ではきちんと論理的に書かれています。

アプリケーション開発など、インターフェイスを開発する人は絶対、絶対、読んでおいたほうがいい!!