株式会社ニューロマジック石川さんの話。
FlashLite3でどういうことができるようになったのか?
携帯向けFlashコンテンツの現状というのは、FlashLite1.1から抜け出せない状況。
FlashLiteのバージョンごとの差異を確認しておくと以下のような感じ。
・FlashLite1.0 : このプレーヤー向けのコンテンツは、FlashLite ActionScript 1.0という規格の言語で開発する。この言語は、ActionScriptの古典言語のような部類に入るもので、FlashLite1.0向けのコンテンツ製作以外では、他にはまったく使われていない。
・FlashLite1.1 : Docomoのサービスがこのプレーヤーを基準に開発されているので、普及率が最大で、コンテンツ量も最大。FlashLite1.1から抜け出せない状況というのは、このこと。
・FlashLite2.0 : flashplayer7相当。au,softbankは、基本的にこのバージョンをプリインストールしている。
・FlashLite2.1 : BREW上で動くflashplayer。XMLSocket通信などができる。
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・FlashLite3.0 : flashplayer8相当。Docomoの最新機種は全てQVGAディスプレイで、このFlashLite3.0をプリインストールしてリリースされる。
各バージョンでできることのおさらい。
FlashLite1.1で可能なこと。
日付連動コンテンツ。ゲーム。待ちうけ画面など。
ドコモのichannelやsony music のモバイルサイトなどで利用されている。
ダイナミックなコンテンツを作る場合、サーバーサイドでswfを生成する必要がある。
サーバサイドでswfを生成するライブラリとしては、Ming(PHP,Perlその他一般的に普及しているサーバーサイドスクリプトでswfを生成する)がある、またソフトウェアとしてはJGenerator(Flash5のflaファイルをベースにswfを生成する)などがある。
デモで見せてくれたのは、ケータイメールでテキストとJPEGファイルをサーバーに送信すると、そのテキストとJPEGを使って生成したSWFファイルを添付したメールが帰ってくるというもの。SWFには簡単なフラッシュアニメーションが含まれていて、待ち受け用の画面などに利用することができる。
FlashLite2.0の特徴。
FlashLite2.0はFlashLite3.0のベースになっていって、au,softbankでプリインストールされている。
ActionScript2.0をサポートしているほか、
・4方向キーの入力をサポート。
・SharedObjectでのデータ保存。
・外部イメージ・外部サウンドの利用が可能。
・デバイスサウンドとフラッシュアニメーションの同期が可能。
・フォーカスの取得・設定が可能。
・関数・配列を利用できる。
・lineなどをスクリプトで描画することができる。
などの特徴を持つ。
ただし、これらの機能は全ての端末で同様にサポートされるわけではない。
デバイスセントラルでも確認できるが、例えば、
・4方向キーの入力に対応しているのは、softbankだけ。
・データの保存(FlashLite 共有オブジェクト)をサポートしているのはauだけ。
のような機種によるばらつきがある。
そのほかにもケータイ特有の制約がある。
・パケット通信料が従量制だったりするので、ローカル・サーバ上どちらにせよ、XMLデータを読み込むには明確なユーザーのアクションが必要。
・外部イメージ・サウンドの利用も、同様に、ユーザーの明確なアクションが必要。
・デバイスサウンドとアニメーションの同期といっても、サウンドを優先して、アニメーションのフレームがドロップされていくだけだったりする。
(_forceframerate=trueという設定で実現する)
FlashLite 2.1の特徴。
・XML Socket通信が可能。
チャットや、ターンによってプレーヤーを変えるネットゲームぐらいなら実現が可能。
サーバサイドのコードも簡単。
デモをデバイスセントラルでプレビューしてくれた。
・4方向キーを使って、駐車場の空きスペースにでバックで駐車するゲーム。
・種を選んで育てるゲーム。時間を取得できるので、経過時間にあわせて育つようにできる。待ちうけ画面などに利用できる。
・RSSリーダー。
・世界時計。世界各地の時間を検索して表示させられるほか、設定を保存することができるので、常時表示しておく地域の時間を決めることができる。
・通勤時刻表。line表示機能で、ダイヤグラムを検索結果にあわせてリアルタイム生成する。(処理が重くて実用に至っていない)
FlashLite 3.0の特徴。
・パフォーマンスが全体的に向上している。
・FLVが利用できる。とてもスムーズに生成される。
・XMLソケット通信が可能。
・ローカルファイルへのアクセスなど、セキュリティ上の制限がflashplayer8相当に強化されている。
・fscommand 2が追加された。
ただしこれらもどこまでサポートするかは端末によって異なる。
少し詳しく見て行くと、
パフォーマンスの向上:
・レンダリング速度の向上。
・メモリ使用量の削減。最初のフレームに必要なスクリプトのみロードされた段階で、再生が始められる。
FLV:
印象としてはとにかく、アニメーションと打って変わって、速い、スムーズ!!
・SWFファイルの埋め込み形式での再生をサポート。
・ローカル、サーバからのプログレッシブ再生をサポート。ただし、メモリが少ないので、まき戻しはできない。
・FMS(フラッシュメディアサーバー)からのストリーミング(RTMP)再生をサポート。
・コーデックはOn2VP6,SorensonSparkに対応。
ユーチューブの動画を表示したり、バナー、キャンペーン、ビデオを使ったゲームなどのコンテンツで利用できる。
セキュリティ:
flashplayer8と同じなので、まずコンテンツのタイプが2つに分けられる。
ネットワーク向けコンテンツの設定でパブリッシュした場合。
・swfから他のデータをロードする場合、同じドメインのコンテンツしかアクセスできない。
・ローカルデータにはアクセスできない。
ローカル向けコンテンツの設定でパブリッシュした場合。
・ローカルデータのみにアクセスできる。
・ダウンロードしてから再生利用する。
fscommand2:
・バックライトの継続時間を延長できる。
・フォーカス矩形の色を変更できる。
FlashLite 3.0 向けのコンテンツを作るには。
・FlashCS3のアップデート行う。
・デバイスセントラルCS3のアップデートを行う。
どちらも、アドビのサポートサイトから、アップデータをダウンロードする。
FlashCS3はここ。
デバイスセントラルはここ。
FlashCS3の方は、パブリッシュ項目が増えて選択のしかたが多少複雑になるので注意。
デバイスセントラルの方は、FlashLite3.0の項目が追加されるが、まで選択できるデバイスはないので注意。
デバイスセントラルCS3のデモをしてくれた。
デバイスセントラルCS3は以下の点が改善されている。
・プロファイル機能の強化。
・キー操作テストが可能に。
・日付、時刻、電池、電波、の状況をパラメータで設定してプレビューが可能に。
・パフォーマンスチェックが可能。
・メモリ使用状況の確認が可能に。
キャリブレーション後のプレビュー速度が実機とほぼ同じになるデモ。
時刻のパラメータ設定で、プレビュー表示している、待ち受けコンテンツの背景の空が、時刻にあわせてグラデーションの色を刻々と変化させて行くデモ。
電波0の設定のシミュレートなど。
最後にFlashLite3.0のコンテンツのデモをしてくれた。
ノキアの端末でFlashLite 3.0がインストールされているのがある。
それで、コンテンツを動かす。
・ビデオを使ったゲーム。ビデオ映像にグリッド上のカバーをかけて、経過時間に応じて、部分的にカバーを外して行く。早く何の画像が当てるゲーム。
・XMLSocket通信を利用した、ネットワーク対戦型のオセロゲーム。
まとめ
DocomoがFlashLite3.0をプリインストールして行くことによって、FlashLite2.0コンテンツが増えることになるでしょうとのこと。
FlashLite1.1の拘束から抜け出せる、良い兆しだという話でした。
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